憧れの仕事に就く。そしてその仕事が“天職”となる。
そんな幸せな人がこの世にどれくらいいるのでしょうか？

MD応援企画第２弾“天職”では、最高にかっこいい“天職者”との対談をお届けします。
バリバリのビジネスマンはもちろん、転職や就職を考える若者にも読んで頂きたい。
日本には、かっこいい“天職者”がたくさんいます！

Vol.6

ロック愛に溢れる音楽家

増田隆宣 / Takanobu Masuda

音楽家・ロックキーボードプレイヤー

大阪出身。日本では数少ないロック系のセッション・キーボード・プレイヤーとして、数々のトップアーティストのサポートを務める。モンスターユニット『Bʼz』や、女性ロックシンガー『浜田麻里』のサポートを30年に渡り務めている。その他、『TUBE』『甲斐よしひろ』『女子十二楽坊』などのキーボード・プレイヤー／作曲家／アレンジャーも務める。1988年ソウルオリンピックのNHKエンディングテーマやアニメ『スラムダンク』等の劇中音楽も制作・担当するなど、その才能を多岐に渡り発揮。現在は、横浜市内で音楽総合教室「T-Music Yokohama」を主宰し、多くのミュージシャンを輩出している。

パイプオルガンの魅力と、相対音感に気付いた幼少期

MD宮崎
- 幼少期から音楽好き、鍵盤好きなお子さんだったんですか？
増田さん
- 最初は「パイプオルガン」なんです。幼稚園がカトリック系だったので、教会の「パイプオルガン」をよく聴いていて、とても好きな音だったことは何となく覚えています。その後、オルガンを習い始めました。家が団地だったので、大きなピアノが置けなかったんで、オルガン教室にしただけだったみたいですけど。
MD宮崎
- では、それからず～と鍵盤弾きなんですね。
増田さん
- いや、オルガンは、1年ちょっとで辞めます。僕、犬が嫌いだったんですけど、オルガン教室の帰り道に子犬に追いかけられたことで怖くなってしまって、それでオルガン教室は辞めちゃいます（笑）
  小学校に入ってからは、少年野球や剣道、合唱団、マーチングバンドなど、いろいろやってましたね～
  ただ、幼稚園の頃から「相対音感」があることには気づいていて、いわゆる「階名」って言うんですけど、テレビから聴こえてくるCMのメロディをドレミで歌えたんですよ。アニソンの間奏も好きで、すぐにドレミで歌っていたので、それは親もびっくりしてましたね。
  そういった点では、音楽の道へ繋がる要素は持っていたんだと思います。

カーペンターズは“サンクチュアリ”なんで、絶対に手を出しません

MD宮崎
- キーボードやロック音楽に触れ始めるのはいつ頃ですか？
増田さん
- 中学でロックが好きになり、高校でバンドを組み、普通のハマり方でしたよ。
  中学の頃はMichel Polnareff（ミッシェル・ポルナレフ）とか聴いていて、どんな曲でも『キーボード』に耳がいってましたね。「キーボード」の音が好きだったんでしょうね、シンセも含め。その当時、ポール・マッカトニーがWINGSというバンドで、実験的にシンセのメロディを取り入れたりしていて、その音がカッコイイなと思ってました。
  高校に入りDeep Purpleを教えてもらい、ドハマりしました。あとは、QUEENの「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットしていたので、よく聴いてましたね。
  
  でも、僕が1番好きなのは、「カーペンターズ」です。何もかもが素晴らしい！メロディも、アレンジも、才能に溢れていて。
  だから僕はあまり触れないです。自分の中で「カーペンターズ」を仕事に入れたり、利用したりすることは絶対にないです。
  僕にとっては「カーペンターズ」は、“サンクチュアリ（聖域/神）”みたいな位置づけで。
MD宮崎
- キーボードプレイヤーとして、一番最初の仕事は覚えていますか？
増田さん
- はい、もちろん覚えています。「ガロ」の日高富明さんが作ったロックバンドで、キーボードを弾かせて頂いたのが最初でした。20歳過ぎの音楽学校の学生でしたので、ギャラは無かったかと思います。最初に、ギャラを頂いてお仕事をしたのは、大阪のハードロックバンド「44マグナム」のレコーディングで、23歳の頃でした。その流れで、Beingの仕事もさせて頂くことなりましたね。そこで、松本くんと知り合って、お互いスタジオミュージシャンとして活動してましたけど、たまに会えば「お前、いい音出すな～」「お前のプレイ、誰々に似てるな～」とか、同じ歳で、音楽のルーツも似ていたので、よく話をしていましたね、もう40年近く前になるんですね。

B'zとの30年が、僕のスタイルを作ってくれました

MD宮崎
- 松本さんとの交流の中で、B'zのサポート入りが始まるんでしょうか？
増田さん
- （沈黙・・・）実は、B'zに呼ばれる直前に、ミュージシャンとしての道を諦めていたんです。自分で事務所を作って、アーティストマネージメントを始めようとしていた頃で、プレイヤーとしては半分辞めかけたタイミングに、B'zのツアーサポートの話がきて・・・ミュージシャンとして、今も弾き続けているのは、B'zからのオファーがあったからでしょうね。B'zのライブで演奏しながら、アーティストマネージメントも続けていて、30〜40歳代は、本当にいろいろチャレンジしてましたね。
MD宮崎
- 長年ご一緒してきた増田さんから見て、B'zのお2人はどんな方々なんですか？
増田さん
- 僕の人生の半分、約30年、一緒に演奏させてもらって、これは嘘偽りなく、彼らには、悪いところは無いんですよ。
  才能があり、弛まぬ努力もあり、周りに対する思いやりもあり、人間的な部分もたくさんあって。
  もちろん、尖がってた時期も知ってますけど、でも尖がっているからこそ、踏ん張れたりするんで、
  彼らの頑張っている姿からは、本当に学ぶところばっかりですね。
  彼らと一緒に過ごせた30年で、今の自分のスタイルがあると思えますよね。

ロック愛No.1のキーボードプレイヤーだからです

MD宮崎
- B'zや浜田麻里さんなど、トップアーティストから信頼され続ける理由を、増田さん本人は、どう捉えていますか？
増田さん
- やっぱり心だと思います、愛！　僕は“ロック愛”が凄いと思ってます。
  世の中には、いっぱい上手いキーボードプレイヤーはいますけど、僕ほど、強い“ロック愛”を持っているキーボードプレイヤーはいないです。ロックって、やっぱりギターなんですよ。そこにロックなドラムがあって、ロックなベースがあって、
  でもロックなキーボードって、あまりいないんですよ。そこが自分の強みだし、砦でもある。僕のキーボードに、“ロック愛”を感じて頂けるから、だから呼んで頂けると思っています。

『Rock'N Hotel』これはチカラを入れたい！とすぐに思えました

MD宮崎
- 弊社企画の『Rock’N Hotel　～高級ホテルでロックンロール！～』の話を聞いた時、率直にどう思われましたか？
増田さん
- 嬉しかったです！（即答）本当に嬉しかった！
MD宮崎
- ホントですか？　ホテルで、爆音ロックなんて出来るの？って不安はなかったですか？
増田さん
- 本当に嬉しくて、ありがたい話で。自分で考えたステージが出来る！　これはチカラ入れてやろう！って思って、
  すぐに信頼できるメンバーを招集したんです。ホテルで本格的なロックステージは初めてでしたけど、いつも主戦場にしているライブハウスと何も変わらないというか、逆に凄くいい環境で演奏できるし、ステージも、音響も、ホテルのおもてなしも素晴らしくて、お客様の喜びもたくさん感じることができて、本当に嬉しいと思っています。
  ただ、これは宮崎さんがこういう嬉しい現場を持ってきてくれたから！ここに尽きると思いますよ。（MD宮崎・感涙）

完全アウェーのクラシックホールでもロックします！

MD宮崎
- そして次の弊社からのお願い企画『KENBAN OSAKA』は、さらにアウェーなクラシックホールですが、どんな構想がありますか？
増田さん
- また新しいステージを作ってくれて、ありがとう！嬉しい！って気持ちがまずあったんですけど、今回はチャレンジだな～と思っています。ロックを知らないお客様もたくさんいるでしょうし、そんなお客様にも、ロックキーボードっていいな、面白いなと思ってもらいたいし、考えれば考える程、プレッシャーが大きくなってます（笑）今回ばかりは、やってみないと分からないかもしれないですね（笑）
MD宮崎
- いや、増田さんなら大丈夫です！『Rock’N Hotel』の時と同じように、私の想像を軽く超えるステージをお届けしてくれると信じてますので（笑）というプレッシャー（笑）
増田さん
- 大コケしたら、ごめんなさい（笑）でも僕がやる意味のあるステージが出来ればな～と思っています。
  ラフに弾いても、激しく弾いても、こんなキーボードステージもいいな～と思ってもらえるように、全力を尽くします！

僕の音楽と付き合ってくれる人が喜んでくれる！これが一番大事

MD宮崎
- 増田さんが、音楽を“天職”だな～と感じる瞬間はありますか？
増田さん
- 今、僕は、プレイヤーだけではないので、音楽教室の経営もレッスンも、宮崎さんたちから頂くイベント仕事のマネージメントも、幅広く音楽をしているので、プレイヤーであれば、自分の納得のいく演奏にお客様が同時に喜んでくれていたり、レッスンの時は僕の教えで生徒さんが納得してどんどん上手くなっていったり、お仕事を企画してくれる宮崎さんたちが喜んでくれたり、僕の幸せを感じる瞬間に、周りが喜んでくれていることが分かる、これは天職というか、僕の仕事なんだな～と感じる時ですね。
  バンドメンバーでも、お客様でも、スタッフでも、僕の音楽と付き合ってくれる人が喜んでくれることが一番大切で、基本だと思うんですよね・・・でも僕の言ってることは理想ですね（笑）口に出すことによって、自分がこうありたいなって、自分に言い聞かせてるところもありますよ。

PHOTO　川村健司 / 白井絢香 / 麻生祥代

1992年7月の横浜アリーナ。
私が高校2年生の時、初めてB'zのライブを観た時に、キーボードを弾いていたのが増田隆宣さんでした。
B'zの2人のカッコ良さに大興奮したことと、
『もう一度キスしたかった』のイントロに魅了されたことは、今もはっきりと覚えています。

あれから30年ちょっと。
2023年5月、横浜のホテルニューグランド。
初めての『Rock’N Hotel』開催の朝。リハーサル開始・・・
期待と不安が入り混じる中、増田さん率いるバンドメンバーの本物の音が、一瞬にしてスタッフの心を掴み、普段のホテルでは感じることのできない極上のエンターテイメント時間が始まったことに涙が止まりませんでした。
制作スタッフの佐藤が私の耳元で「凄いっすね！？今、世界一カッコいい音楽現場にいますね！」と喜んでいたことも印象的でした。

増田さんの音楽には、“愛”が溢れています。
増田さんのロック愛と同じくらいの大きな愛が、共演者にも、スタッフにも、そしてお客様にも注がれ、その場にいるみんなが自然と笑顔になっています。帰り路は、みんな幸せです。

弊社の新企画、6月29日開催の【KENBAN OSAKA】でも、
まさかのゲストミュージシャン、まさかのセットリスト！？
クラシックホールで、増田さんのロック愛が爆発する予感しかありません。増田さんの音楽を知っている方も、初体験の方も、きっと、音楽の素晴らしさに魅了されることと思います。

増田さんのロック愛に触れることができる喜び。
長く続けてきて、良かった～！　私にとってはご褒美です。