そんな幸せな人がこの世にどれくらいいるのでしょうか?
MD応援企画第2弾“天職”では、毎月1回、最高にかっこいい“天職者”との対談をお届けします。
バリバリのビジネスマンはもちろん、転職や就職を考える若者にも読んで頂きたい。
日本には、かっこいい“天職者”がたくさんいます!
Vol.2
Jリーガーを蹴った男。
どうしてもクルマ造りをしたかった男。
自分の努力に絶対的な自信を持つ、絶対ブレない男。
≪中学時代≫
サッカー部のキャプテンを務めているにもかかわらず、
ラジコン研究費を稼ぐために、毎朝、新聞配達のアルバイト
≪高校時代≫
広島県立広島工業高等学校 ・サッカー部所属
1年 第64回全国高校サッカー選手権大会出場
2年 第65回全国高校サッカー選手権大会出場 /ユース日本代表候補
3年 第66回全国高校サッカー選手権大会出場 / ベストイレブン /
ユース日本代表
≪社会人時代≫
1988年 マツダ株式会社入社
マツダサッカークラブ入部(現サンフレッチェ広島)
1992年 イングランド・プレミアムリーグへサッカー修行
(Jリーガーになれたのに・・・)
サッカー選手を引退 ~ 【クルマ造り専念宣言】
【ブレない男・虫谷 Episode 1】
ラジコン研究か? サッカーの試合か?
悩み続けた学生時代
MD宮崎 |
虫谷さんと言えば“サッカー選手”のイメージが強いんですが、小さい頃からサッカー一筋ですか? |
---|---|
虫谷 |
いや、クルマ大好き、ラジコン大好きな少年でした。 |
MD宮崎 |
そんなクルマ大好きな虫谷さんが、10代の時、サッカー選手を選んだ理由は? |
虫谷 |
サッカーで高校に入って、いきなり1年の時に全国大会に出てしまい、ユース日本代表にも選ばれてしまい、企業や大学からサッカー推薦のオファーが来てしまったんです。 それでも高校の進路指導の時に“卒業後には、広島の自動車短大に行って、将来はディーラーの整備士として、クルマに携わりたい”みたいなことを伝えたら、先生に“馬鹿もん!ここまでやってきたサッカーを捨てる気か!”って怒られて、サッカーの道を選ぶことにしたんです。 それでもクルマの可能性を考えて、当時のトップリーグ「JFL」でクルマメーカーだった、「マツダ」と「日産」の話を聞くことにしたんです。日産さんは、サッカー選手だけの契約だったんですが、マツダさんはサッカー選手引退後のことも考えてくれる(クルマ造りに携われる)と、元マツダ・サッカー部の今西監督に言ってもらえたので。 |
【ブレない男・虫谷 Episode 2】
Jリーガーではなく、クルマを取った覚悟
“35歳の時に胸を張って、マツダのエンジニアだ!”
と言いたい
MD宮崎 |
率直に聞きますね・・・なぜそのままJリーガーにならなかったんですか? |
---|---|
虫谷 |
もちろん、クルマへの想いがあった・・・これが主な理由ですが、それだけでもなくて。 Jリーグが始まる1年前に、当時、イングランド・プレミアムリーグで、その昔UEFA(クラブヨーロッパチャンピオンズリーグ)も制覇した古豪「イプスウィッチ」にサッカー留学させてもらったんですけど、その時に世界のレベルに衝撃を受けたんですね。自分も少なからず代表経験があって乗り込んだんですけど、技術はもちろん、世界とのメンタリティの差・・・これは衝撃でした。あとは、韓国遠征の時に観てしまった閑古鳥のスタジアム。Jリーグの未来を見てしまったかのようで。
本当にいろいろ悩んだ末、人生をリセットしようと覚悟を決めました。
その時、心に決めたことが・・・ “35歳の時に胸を張って、マツダのエンジニアだ”と言えるようになろう。 サッカー選手が30歳を過ぎて引退を考え出し、第2の人生を始める頃の35歳に、私は胸を張っていたいと思いました。でも実は辛かったですよ~ 自分は1人前に仕事ができない、お金もない。でも同級生のJリーガーは、年収ウン千万で、ポルシェに乗って帰省してくるんですからね。やっぱり悔しかったですね。 |
【ブレない男・虫谷 Episode 3】
頼まれたコピーは、完璧に頭に叩き込むため、
熟読しながら数時間かけた
MD宮崎 |
いよいよ、クルマ造りに突入するんですね! |
---|---|
虫谷 |
実は、プロ化する前のサッカー選手時代にも勤務時間は少しあって。出勤してもコピーだけでしたけど、このコピーも真剣に取り組んでて。入社時から配属を「実研部」にして頂いていたので、コピーをする紙にもいろんな実研結果だったり、考察付きの最新情報が記載されていて、それを興味を持って、全部熟読してからコピーしてたので、マル秘情報まで頭の中に刷り込まれていたんですよ。 |
MD宮崎 |
コピーで数時間は、さすがに・・・ |
虫谷 |
そう、“何やってんだ~!”って怒られたこともありましたが、クルマに関われるわずかな時間だったので、真剣でしたね。 |
【ブレない男・虫谷 Episode 4】
F1のレジェンド「ジャッキー・スチュワート」でも
一般ユーザーの目線
MD宮崎 |
クルマ造り人生でのターニングポイントは? |
---|---|
虫谷 |
20代後半の時、若手が唯一、上の方々とお話できる“肩の凝らない技術報告会”というのがあって、その場で“こんなんじゃマツダはダメだ~海外のプレミアム車は~!”みたいなプレゼンをして、皆さんを凍り付かせたことがあったんです。批判的なコメントもありましたけど、その時の座長(当時の本部長・金井さん)が肯定的で、しっかりと話を聞いてくれて、その半年後には海外常駐にさせてもらえたんです。
中でもジャッキー・スチュワートさんとの出会い。私の人生で、第2の今西さんと思っているんですが、F1でワールドチャンピオンに3回輝いて、今でもF1全体のアドバイザーかな。 |
【ブレない男・虫谷 Episode 5】
誰よりも努力した自信があるからこそ、
絶対にブレない
MD宮崎 |
虫谷さんの言葉には絶対的な自信を感じるんですが、ご本人でも意識されていますか? |
---|---|
虫谷 |
ん~言葉に自信があるかどうか分かりませんが、誰よりもクルマに乗っていますからね。
F社の傘下時代、僕が信じるスタンダードをF社の担当主査に完全ダメ出しされたことがあったんですね。 |
MD宮崎 |
1回ぐらい妥協したことはないんですか? |
虫谷 |
ないです。折れたり、妥協したり、諦めたりはないです。
でもね、自分1人じゃ何もできないと思ってるんです。自分の行動を見てくれて、誰かが反応してくれる。評価は周りがしてくれるんですから。何で評価してくれないんだ~って思う前に、自分を整理しろ!こう思ってます。 |
MD宮崎 |
最後に、私にダメ出ししてください。 |
虫谷 |
宮崎さんは“本質を理解している人”です。イメージですけど、宮崎さんの世界って上辺だけでもやれる仕事もあると思うんです。とても華やかだし。でも宮崎さんはいろいろ準備するし。そう!陰の準備が凄くて、もの凄く気を配ってくれて、おそらく相当しんどいはずなのに。宮崎さんがいなくなったら、このイベントは出来ないだろうな~と思ってましたので。だから私はリスペクトしてるんだと思います。 |
MD宮崎 |
身に余るお言葉でございます。ありがとうございます! |