M Direction

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【MD応援企画】

トップアーティストの生声 #8

この夏スタートする M Direction を応援するべく、アーティストがメッセージ
毎週月曜日、M Direction ゆかりのアーティストのミニ対談がアップされる

筆で書いているというよりも 息づかいを見せている感覚です

本田 蒼風 / 書家

第8弾は、MDが一目惚れした書家・本田蒼風さん。
幼少期より“書”を極め、数々の展覧会で賞を獲得。 彼女の力強い文字は、お酒や観光パンフレットなど、様々なところで皆さんも目にしています。 そして何といっても、ライブパフォーマンス。 とにかくカッコいい!音楽とともに披露されるパフォーマンスは、飛んだり跳ねたり、体を捩じらせたり、躍動感の連続に観る者全てが釘付けになってしまう程。 写真記事なので、その躍動感はお届けできませんが、大注目の女性書家の声を少しだけお届けします。

本田蒼風さん

Voice #8

- 年度初めに“学級目標”を書く役目をもらえる瞬間・・・唯一、自分の存在を確認できた

MD:昔から書道はされていたんですか?
蒼風: 私、おばあちゃんっ子で、その祖母が習字教室を開いていたので、2歳ぐらいからそこで大きなお姉ちゃんたちと書いてました。父も“書”をやっていて、リビングには父の作品が飾ってありましたから、幼い頃から“書”に触れる機会は圧倒的に多かったかもしれませんね。
私、小学校の頃、勉強も運動も出来なかったので、唯一自信を持てていたのが字を書くことだったんです。 年度の初めに“学級目標”を書く役目をもらえる瞬間・・・この瞬間が1年で唯一、自分の存在を確認できたのを今でも鮮明に覚えています。“私、このクラスにいていいんだ!”って。 “書が出来る子”っていうポジションで学校に行ってましたね。

MD:小さい頃は“書”以外には何かされていなかったのですか?
蒼風: エレクトーンも習ってました。いわゆる習い事レベルでしたけど、今考えると、私の書道パフォーマンスは“音”を大事にしていて、“音”に合わせて書けるのは、エレクトーンをやっていたことも大きいと思いますね。

蒼風さん photo2

- 書道部って、めちゃめちゃ体育会系なんですよ

MD:蒼風さんの“書”は飛んだり、舞ったりするじゃないですか?それはいつごろからですか?
蒼風: ん~いつ頃かな~ でも“書”のパフォーマンスって結構体力勝負で、練習も厳しいんです。
中学・高校とかは、スクワットしたり、外周走ったり、そして徹夜で書き続けたり、めちゃめちゃ体育会系の書道部でしたね。 高校時代は大会でたくさん受賞していたので、大学には推薦で入れたんですけど、大学は厳しかったな~
1年生は、ゼロからのスタートで、先輩のお手伝いのみ!紙貼り、吸い取り、墨擦り、筆洗いの日々ですよ。テニスのボールガールと同じです。先輩が書く横で、片膝ついてスタンバイでしたから。しかも“書”ってお金が掛かるんですよ~ 紙も何千枚、墨もとんでもない量を使いますし、筆もそれなりに高いし。だからバイトは3本掛け持ちで、バイト終わってから、深夜にゼミ室で書いて、夜中3時頃に帰宅し、シャワー浴びて仮眠取ったら、すぐに1限目。そんな生活でしたから、大学時代は遊んだ記憶が全く無いんです! 私だけなのかな~旭川教育大学の書道研修室はそんな感じでしたね。

蒼風さん photo4

- 筆で書いているというよりも、息づかいを見せている感覚です

MD:蒼風さんのパフォーマンスは、会場全体の空気も変える力があると思うんですが、何か秘訣・手法があるんですか?
蒼風: MDさんも創り手だから分かると思うんですけど、上手くいってる時って、お客さんも一緒に息をしてたり、力が入ってたりするんですよね。書いていて、背中でガンガン感じるんです。
でもなかなか上がってこない時があることも事実で、そんな時こそ、息だったり、力強さだったり、逆に止める瞬間を入れてみたりして、“みんな見てるかい!”って心で言っているかのごとく。お客さんもハッとするみたいです(笑)

MD:蒼風さんの目指す“書”は?
蒼風: 私の場合、“息”です。“息づかい”です。
文字よっては“息”を止めて筋肉を緊張させて強めに入ったり、息をフ~と吐きながら柔らかく入ったり、特にライブパフォーマンスに関しては、筆で書いているより、息づかいを見せている感覚ですね。実は、パフォーマーとして憧れているバーレスクダンサーがいまして、その方のアドバイスに影響されている部分があって、彼女も“息”を大切にしていて、彼女が息を吸い込むと自分まで吸い込まれそうで、一緒にステージに立っている感覚になれる、あの感じを“書”でも目指しています。
もう一つ言ってしまうと、“生きてる文字”が書きたいです。今にも動き出しそうな文字。 実は“蒼風の文字”っていうイメージが定着してきていて、それはとても有難いことなんですが、そこから逸脱した文字を書いたり、やりたいことをやらずにセーブしている自分も最近いまして、今年で活動10年の節目になるので、少しその領域も発信していきたいな~と企んではいます・・・(この話もたくさんお聞きしましたが、おそらく蒼風さんのタイミングで発信されると思いますので、今回は詳しい話はカットします)

今後、いろいろとチャレンジはしていきますが、私の根底は変えないと思います。山に籠って作品作りする気はありませんし、やっぱり、私は、私の“書”を見て、いいものに出会ったと感じてもらいたいし、心動かされたり、その後の生き方をプラスに出来たり、そういう人を見続けていきたいと思っています。

書道一筋に見える蒼風さんですが、学生時代には吹奏楽に触れ、社会人になってからは英会話教室で働いたりと、様々な経験をされているようです。そんな経験からでしょうか? 蒼風さんの書道パフォーマンスには、他の書家とは全く違った世界を感じてしまいます。
わずか数分のパフォーマンスですが、とても凝縮された舞台を見ているかのような、幸せな気分にさせてくれます。力強さだけではない、何か別の隠し味がある蒼風さんの特別な“書”、ぜひ多くの皆さんに体感してほしいです。

プロ活動10年の節目を迎え、新たなことにチャレンジすることも教えてくれました。 しかし古き良き伝統や、感謝の気持ちは決して忘れていない蒼風さん。 『蒼風』という、カッコいい名前。これは、書の道に導いてくれた、祖母「和風」さんと父「無蒼」さんから1文字づつ頂いているそうです。 この名前での活動は、これからも敬意を持って続けていきたいと話してくれました。 蒼風さんには、私のイベントにもたくさん出て頂きます!またカッコいい時間をお願いします!!


<Information>
蒼風さんの新企画が9/9(土)に開催。チェロと篠笛との共演で新たな蒼風ワールドが誕生します!
公演詳細はこちら

蒼風さん photo5